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蕾は開き咲きほこる
第14章 合鍵
「汐里?どうしたんですか?」
優しい声音で聞いてくれる光春さんに、怖いと思いながらも聞いた。
「き、嫌いに、なりませんか?」
「嫌い?」
「はい……仕事中にエッチな事、考えて、こんなにも、乱れて、幻滅、しませんか?」
言葉にした後、どんな返事が返ってくるのかドキドキしてまった。
「鍵……この部屋の鍵はどうしましたか?」
「鍵?」
私が欲しかった答えとは違う言葉に聞きかえす事しかできない。
「そうです。渡した鍵です」
「テーブルの上……テーブルの上に置いています」
鍵の場所を教えると、光春さんは私を離して寝室から出ていった。
その後ろ姿を見ながら、それが答えなのかと涙が溢れシーツを濡らした。
枕に突っ伏していると寝室の開く音が聞こえ、右側のベッドが沈んだ。
「汐里?」
頭の上で光春さんの優しい声。
それに惹かれ顔を上げると、いつもの優しい光春さんの笑顔が私に向けられていた。