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蕾は開き咲きほこる
第14章 合鍵
「私も、もっと光春さんと一緒にいたい……週末だけなんて……」
そこで言葉を切った。
仕事が忙しい光春さんに、これ以上は迷惑をかけられない。
「ごめんなさい。忘れ――」
「ですから、これです」
私の声を遮って、頭を撫でている逆の手を私の目の前に差し出して広げた。
そこには、帰り際に渡された鍵が握られていた。
「このまま汐里が持っていてください。一緒に帰る事はできませんが、会いたい時はいつでも待っていてください。そのまま泊まって一緒に出勤するのもいいですね」
私は起き上がって光春さんと同じ視線になるように座り、光春さんの掌にあるカギを見つめた。
「貰っても、いいんですか?」
「もちろんです。先に帰って今日みたいに夕食の準備をして待っていてくれると嬉しいです。早く帰ろうとやる気もでますし……」
そこで一旦言葉を切った光春さんは恥ずかしそうに笑う。
「おかえりと迎えてくれる汐里に何度だって恋をしそうです」