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蕾は開き咲きほこる
第16章 桜の下で
「しっ、汐里!」
咄嗟に私の手を引いてくれた光春さんの胸の中に倒れこみ地面に倒れずにすんだ。
だけど、思いっきり倒れこんだから光春さんに怪我がないのか心配になる。
「ごめんなさい。足が痺れてて……痛いところはありませんか?」
「いや、私は大丈夫ですよ。それに膝枕をしてもらってたから足が痺れるのは当然です。こちらこそ申し訳ない」
「そんな……頭をあげてください。足が痺れているのに気が付かなかった私が悪いんですから」
お互いに自分が悪いと頭を下げ続ける私たちは、顔を上げた瞬間に顔見合わせて笑った。
「私はどこも痛くはしていないので大丈夫ですよ。汐里に怪我がなくてなによりでした。ですが、こういう体制も悪くありませんね」
光春さんに指摘され、今の恰好を自覚すると一気に体温が上昇して頬が赤くなった。
「あっ、ごめん、なさい」
咄嗟に光春さんの上から降りようとすると、その手を取られて降りることができなかった。