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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
「もう遅いから帰りなさい」
そう言って数十分前に降りようとした階段を降り始めた。
「あ、あのっ、課長!」
もう一度呼び止めると、課長はもう一度振り返り笑った。
「昨日の事は当然の事をしたまでですから気にしなくて結構です。それより、無理なものは無理と言えるようにならなければこの先困るのは坂上さんです。急に変われとは言いませんが徐々に社会人として前に進んでください」
そう言って、ホームに入ってきた電車に乗って行った。
残された私は、その電車から降りてきた人波に飲まれながら自分のホームに移動し課長の言葉を思い出す。
変えられるモノなら私だって変えたい。
その努力もやってきたし、これでもマシになったほうだと思う。
課長も無口で私の気持ちを分かってくれていると思ったのは私の間違いで、課長は無口でも自分の意見がはっきりと言える人だと改めて感じだ。
そんな課長の素顔を知ったのは社員旅行の時だった。