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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
「私も言葉足らずで無口だと言われますが……キミも相当のようだ」
課長はフッと柔らかく笑い、私が話し出すのを待ってくれていた。
だから私は必死に言葉にする。
「けっ、今朝はありがとうございました」
必死にそれだけを口にすると、課長は驚いたように目を丸くした。
何に驚いているのかわからずキョトンとしていると、今度は肩を震わせながら声を抑えて笑い出した。
その仕草に益々意味が分からなくなり、自然と顔全体が熱くなりとっさに両手で頬を包んで人からの距離を取ろうとする。
私は、人が苦手な上に赤面症で動揺したりすると顔が火照ったように熱くなり真っ赤になってしまい、ますます人と話すことが苦手になる。
そんな事を考えていると、腕組していた腕を解いて時計を確認した課長はポンと頭に手を置いた。
一瞬ドキッとしたけれど、いつもみたいに怖くはなかった。