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蕾は開き咲きほこる
第18章 デート
「考えてみれば、こんなデートをするのは初めてですね」
食後のコーヒーを飲みながら、吹き抜けていく秋めいた風に目を細めながら光春さんは言葉にする。
その風を感じながら記憶を遡ってみた。
「……そうかも、しれませんね」
思い出すのはカメラを片手に真剣な表情で景色を撮り続ける光春さんの姿ばかりで街中で過ごした記憶は少ない。
買い物にでかけることはあっても近場の商店街で済ませていたし、食事にでかけたとしても仕事の帰りだったりしてたから、こんなデートらしいデートをした事はなかった。
それに、週末は光春さんのマンションで過ごすことが多く、外に出るよりは部屋の中で光春さんの体温を感じているほうが幸せで、お互いに外に出ようと思うことは少なかった。
それに、写真が趣味な光春さんはアウトドア派だと思っていたけど、写真撮影以外はインドア派で、家の中でまったり過ごしたい派だと聞いたときは自分の耳を疑った。
私も外より内の方が好きだから、お互いに外に出る事を好まなかった。