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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔

「とりあえず座って温まりなさい。そんな薄着では風邪をひく」

課長は立ち上がり暖かそうな席を譲ってくれた。
さすがに課長に悪いと思って座れないでいると、ドーム型のテントの中から他の椅子を持ち出し、先ほどまで座っていた場所とは反対の場所に椅子を置いて座った。

「暖かなコーヒーでも入れますので座って温まってください」

課長の言葉に甘えて椅子に座って暖を取ることにした。
炎に手を翳すとかじかんでいた手がじんわりと痺れてくるのが分かる。
その間に課長は焚火の上で沸かしていたお湯でコーヒーを慣れた手つきで入れ始めた。
インスタントではなく、豆から挽いて作る本格的なコーヒーで、お湯を注ぐと一瞬にしてコーヒーの良い匂いが漂いだした。

「良い匂い……」

「そうですね。挽き立てのコーヒー程匂いの良いモノはありません。私のこだわりのひとつなんです。気に入っていただけたら良いんですけど」

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