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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
「課長?」
まさか課長がいるとは思わず、ついつい口から出てしまった言葉に課長はゆっくりと振り向き、私だと分かると驚いた表情をした。
いつもは冷静沈着な課長の普段は見せない驚いた表情に私の方もびっくりしてしまい、お互いに無言の時間が続いた。
「あっ、と……ひとり、ですか?」
我に返った課長は、私の周りを見渡し誰もいないことに気がつき心配そうに口を開いた。
その言葉にコクリと頷くと、またもや驚いた表情をしてこめかみに手を当ててハァ~と息を吐く。
「こんな時間に一人で出歩くなんて何を考えているんですか。それもこんな人気のないところまで来て何かあったらどうするんですか?」
いつもの調子を取り戻したかのように、メガネの淵を人差し指で押し上げながら不機嫌な声。
その声に社内にいるような感覚になり、何も言えなくてうつむいてしまう私に課長は更に大きなため息をついた。