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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
「まぁ、普段の私を見ていればそう思いますよね。――そうですね~……キャンプが好きというよりかは必要に応じてと言ったほうがいいですかね」
「必要に応じて?」
「こんな山奥に来る場合、前日に来てゆっくりするんですよ。特に冬山は星がきれいですからね。こんな風にコーヒーを飲みながら夜空を見上げるのが贅沢で好きなんです」
そう言いながら課長は夜空を見上げ、それに誘われるかのように私も夜空を見上げた。
先程もきれいだと思った夜空も、焚火にあたりながら、それもコーヒーを飲みながら見上げる夜空は贅沢で、課長の気持ちが何となくわかる。
それに夜空を見上げていれば余計な言葉などいらない。
ただただ夜空を見上げ、人と一緒にいることへのストレスがないのも要因の一つでもあった。
パチパチと炎が燃える音が心地よく、時間が過ぎるのも忘れるほど居心地の良い空間も長くは続かない。