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蕾は開き咲きほこる
第22章 嫉妬
「羽間くんと距離が近くないですか?」
その日の夜、いつものようにソファーに座って寛いでいると少し不機嫌そうな声音で聞かれた。
「そう、ですか?」
「ええ、他の人はともかく羽間くんの汐里に対する距離が近いような気がします。今日のお昼休みもそうでした」
その一言で、昼休みに羽間さんと話している時の事を言われているのだと分かり、安心してもらうために何を話していたかを教えた。
「羽間さん、待ち受けをバイクに変えてたんですよ。それからバイクの話になって色々と教えてくれたんです。専門的な話もあったけど知らない世界を知れて楽しかったです」
だから大丈夫ですよと言ったつもりだった。
だけど、私の言葉に益々不機嫌になる光春さん。
「それ、言葉にしましたか?」
「……知らない分野だから嬉しいみたいな事はいいましたよ」
聞かれた事に素直に答えると、光春さんは手に持っていたコップをテーブルの上に置いて、真正面から私を見据えた。