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蕾は開き咲きほこる
第22章 嫉妬
「もしかして、ふたりっきり??」
あの場には女性しかいなかったし、ふたりで飲みにいったのかと思うと、心のざわめきが大きくなりどす黒い何かが私の中を覆いつくす。
「今頃、ふたりは……」
女性が光春さんに撓垂れ掛る姿が脳裏に浮かび、心が突き刺さるほどに痛んだ。
そんな思いをしながら会社に到着すると数名が仕事をしており、その中に羽間さんもいた。
「あれっ?直帰で良いって言ったよね」
「スマホ忘れちゃって……これ、捺印いただいてきました」
「マジ?助かったぁ~~」
書類を受け取った羽間さんは喜びながら書類をチェックする。
「うん。これで明日の契約バッチリだ!――ってどうかした?」
問題ないと視線を私に向けた後、心配そうに言葉をかけてくれた。
「大丈夫、ですよ」
「そんなわけないじゃん。何かイヤなことでもあった?」
心配れるほど顔に出ていたのかと驚き、慌てて笑顔を作っても羽間さんは納得してはくれない。
先生に怒られて立たされている生徒みたいに、黙り込むしかなかった。