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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
「これだけでもきれいなんですけどね」
課長の言葉通り、目の前には見たことのないような風景が広がる。
朝靄がかかっていると思っていた湖は、実際には湯気が立ちあがっていた。
「この湖には温泉の湯が流れ込んでいるため水温が高いんです。
その為、温度の変化で湯気が立ちあがり幻想な景色を見せるんです。あと少ししたら一気に景色が変わりますから目を離さないでください」
それだけ言うと、課長は手に持っていたカメラを構えてシャッターを押すことなく何かを待っているかのように動かない。
その横顔は真剣そのもので、課長が指さした景色ではなく課長の横顔を見続けたていた。
「そろそろ変わりますよ」
課長の言葉にハッとして視線を湖に向けて数分、今まで立ち上げていた湯気に陽の光が当たりキラキラと光り輝く景色に感嘆な声も上げられず魅入ってしまう
こんなにもきれいな風景が世の中にはあるのだと感激のあまりにじわっと何かがこみあげてくるものがあり涙があふれてくる。
その涙を課長にばれないように拭ってはキラキラと光る湖を眺めていた。