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蕾は開き咲きほこる
第24章 それぞれの一歩
「大丈夫ですよ」
私に視線を向けた光春さんはいつもの笑顔を向けるけど、どことなく寂しそうに見えるのは変わらない。
「桜子さんたちも来ていると思いますので急ぎましょうか」
「はい……」
光春さんに手を引かれながら待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所は駅を出てすぐの北入口。
ちょうど電車が到着したばかりで入場口は人であふれかえっていた。
キョロキョロと辺りを見回していると、端のほうで手をつないでいるふたりを見つけ駆け寄った。
「お待たせしました」
「私たちもさっきの電車で来たばかりよ。それにしてもこんなに人が多いなんて思わなかった。5年前はもう少し少なかったわよね」
「テレビで取り上げられるようになりましたからね。インスタ映えすると言って有名らしいですよ」
「インスタ映えって……光春くんでもそんな言葉を使うのね」
桜子さんはケタケタと楽しそうに笑いながら光春さんをからかっていた。
そんな桜子さんを優しい眼差しで見つめる長野さん。
この場所がふたりにとってどういう場所が分かっている私たちは、複雑な気分を抱えながら園内に足を踏み入れた。