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蕾は開き咲きほこる
第4章 変わる日常
その後はお互いに話をすることもせず、桜の花を見ながら時を過ごした。
時折吹く風に舞い散る桜。
その瞬間を逃さないように何度もシャッターを切る課長。
その横でただただ心地よい時を過ごし、私がこんな時間を持てるとは思いもしなかった。
だから、課長が帰ろうと言った時は、まだまだ帰りたくないと思う私が存在した。

「もっと、居たかったな」

片付けながらそんな言葉がポロリとこぼれ落ち、誰も拾ってはくれないと思ったけど違った。

「でしたら……また誘ってもいいでしょうか?」

「えっ?」

課長の言葉にシートをたたんでいた手が止まった。
だけど課長は片付ける手を止めることなく淡々と言葉にする。

「桜が終われば藤、藤が終わればバラと季節はめぐり、その時々を写真におさめるのが私の趣味なんです。車で足を延ばすのも私の趣味のひとつで……坂上さんさえ嫌でなければ誘ってもいいでしょうか?」

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