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蕾は開き咲きほこる
第4章 変わる日常
「小腹もすいているでしょうから珈琲のお供にどうぞ」
そう言って渡してくれたのは可愛くラッピングされたサンドイッチだった。
「すいません。私、何も用意してなくて」
「ここに誘ったのは私なので気にしないでください。それよりいただきましょう」
慌てる私と違って課長は穏やかな笑顔でサンドイッチを食べ始めた。
何も用意してこなかった自分を恨めしく思いながらサンドイッチを口にして珈琲を飲んで見ると、今までで一番おいしく感じた。
「おいしい……です」
「それはよかった。家で飲む珈琲もいいですが、外で飲む珈琲は格別です。それに今日は自分で豆から挽いてつくったんです。美味しくないはずがない」
課長の言葉に納得した。
この前、冬空の下で飲んだ珈琲も美味しかったけど、今日の珈琲もまた違う美味しさがあった。
それは自分で豆を挽いたからでもあるけど、ここまで自分の足で登ってきたからというのもあるかもしれない。