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第57章 本当の始まり

真実を知り泣きじゃくっていた広美が少しして話し出す。


「もう許してください、家に帰りたいです、帰してください」


太田にその言葉を聞きながパソコンを起動して色々何と準備をしだす。


「あー、帰りたいなら帰ってもいいぞ」

軽い口調でそう返答し、広美の前に三脚を立て、その上にカメラを設置した。

そしてカメラのスイッチを入れる。

うーん、この角度でいいか

太田は呟きながらカメラの位置を調整する。


よし、これでいいか


太田は先ほどまで映像が流れていたテレビに目を向ける。

そのテレビには椅子に拘束されている広美の姿が映っている。
それはインターネット上での生配信動画だった。


モザイクも何もなく、広美の姿がインターネットで配信されている。


広美はまだそれに気がついていない。
先ほどの太田の返事に言葉を返す。


「じゃ、じゃあ早くこれを解いてください、動けないんです」


太田は画面の方に集中しているのか、そっけなく返事を返す。


「あー帰りたかったら自分でなんとかしろ」
「そしたら帰ってもいいぞ」

そういうと太田は顔を隠すように覆面を被る。


「えっ、そ、そんなの無理です、いやっ、ほどいてください」

広美は暴れる様に体を動かしミシミシと椅子がきしむ音がする。