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第68章 強い日差しの中で

あれから五年

季節は八月、強い日差しを避けるように一人の女性が木の下で休んでいる。


「あー、今年はいい林檎が収穫できるといいなぁ」

そう呟いた女性は広美だった。

あれから広美は母方の田舎に移り住み林檎農家の手伝いを始めていた。

既に広美の中には太田の存在には無い。
完全に無くなったわけではないが、夜な夜な夢に出てくるようなこともなくなり、日常生活をしていくうえでは問題はなくなっていた。

いまの広美はほとんど人と接することがない環境で、両親と祖母とひっそりと暮らしていた。

このまま時間が経てば、広美にもいつか幸せになれるであろう。


しかしながら、この物語は残酷であった。