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第10章 ほつれ

彼女のあまりの綺麗さに思わず見入ってしまう淳。

淳から声をかけたにもかかわらず、何を話していいのか分からなくなってしまった。

目が合ったまま沈黙の時間が流れる。
その透き通った瞳に淳は吸い込まれそうだった。

自分から声をかけてきて呆然としている淳を見て思わずその美女がふふっと笑う。

「どうしました？」

透き通るような声だった。

淳「あ、えと、その・・」

「？」

しどろもどろになっている淳を見て彼女は少し首を傾げる。

「なんでしょう？」

もう面白いものを見つけたかのように少し微笑みながら彼女は淳を見る。

美女に見つめられて、淳は焦った。
何か言わなければならないと思い、慌てて喋った。

淳「あ、あの、ナンパ待ちなんですか！？」

「えっ・・」

そう言われて彼女は目を丸くした。
しまったと淳は思った。いきなり話かけて台詞があまりにも突拍子もないなと自分でも思った。

「・・・そうです。待ってました・・・」

さっきまでの微笑みが消えて、少し儚げな表情で彼女がそう答えた。

淳「えっ・・・？」
思いがけない返答に淳は驚きを隠せない。


「・・・・って言ったらどうします？笑」

彼女は意表を突かれてきょとんとした顔の淳を見て、いたずらっぽく笑った。

初対面にも関わらず、彼女のその愛想の良さに淳はもう惚れてしまいそうだった。