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美女の身影
第15章 裏切り
誠「ど、どうぞ・・・」

誠は飲みかけの缶チューハイを佑奈に手渡す。
その動作がどこかぎこちない。
急なお願いに面食らっているのかもしれなかった。

佑奈「ありがと・・・」

佑奈は誠が差し出した受け取り、飲み口に唇をつけた。

寝ている沙耶の真横で、沙耶の彼氏と間接キスをしてしまった。
缶を傾けて、中味のレモンサワーを口の中に注ぎ込む。
甘酸っぱい味がした。

佑奈「うん、おいしい」

飲み口から唇を離すと笑みをつくって誠をみる。
誠の顔に少しだけ緊張の色が見て取れた。

佑奈「こっちより飲みやすいかも」

佑奈は口元に笑みを浮かべて自分が飲んでいた缶チューハイを誠に差し出した。

誠は一瞬だけ戸惑いつつも、それを受け取った。
そして佑奈と同じように口をつけると、傾けて飲む。
彼女の女友達が口をつけた缶チューハイを飲む誠の横顔を見て佑奈は胸の鼓動が大きくなるのを感じていた。

佑奈「どう?」

誠「うん、いや、普通においしいよ」

誠は少し恥ずかしそうな顔で言った。
今の間接キスで誠は佑奈の事を意識しているようだ。

佑奈「怒られちゃうかな」

誠「ん?」

佑奈「今の。沙耶に怒られちゃうかな?笑」

佑奈はいたずらっぽい顔で誠の顔を見る。

友達の彼氏を誘惑するようなことをして最低の女だなと佑奈は思った。
だが罪悪感より、欲求の方がはるかに勝ってしまっていた。

佑奈は男の性分を理解していた。
大多数の男はチャンスがあれば、誰とでもしたくなる事を。
そして自分が男が歯止めが利かなくなるほどの魅力を持ち合わせていることも。


佑奈は誠の方に身体を向けながら背面のソファで眠っている沙耶の方を振り返った。

その動作をしながら誠の太ももの上に片手を置いた。

佑奈「沙耶ぐっすりだね・・・笑」

熟睡している沙耶の顔を時間をかけて見た。

後ろから誠の熱い視線を感じる。

きっと今、誠の頭の中で色々な事が駆け巡っているだろうなと佑奈は思った。
太ももに手を置いた理由は、何なのか。
理由なんて無いのか。

そして佑奈は誠の太ももに手を置いたまま誠の方に顔を戻す。
さっきより明らかに2人の距離が近づいていた。

佑奈は誠の顔を見てドキリとした。
誠の目が獲物を狙う男の目に変貌していた。

佑奈は口元に微笑を作りうっとりとした瞳で誠と目を合わせた。
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