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美女の身影
第17章 支配
「お疲れ様でした」

相田達之は22時頃飲食店のバイトを終えて、アパートへの帰路についていた。
達之は今年から東京の大学に入学し、一人暮らしを始めていた。
実家の父から仕送りはあるが、大半は家賃と最低限の食事代に消え小遣いと呼べるほどの金は残らなかった。
趣味や大学でできた友人と遊ぶための金はバイトをして自分で稼ぐ必要があった。

徒歩で帰る途中、おもむろにスマホを開いた。
メッセージアプリを開くと何人かの友人からメッセージが届いていた。
その中に晴菜という名前の女子からメッセージが届いていた。彼女とは新歓コンパで連絡先を交換してからもう3週間以上やり取りが続いている。
愛想が良くて、気配りが上手というのがその時の印象だ。
抜群の美女という訳ではないが、親しみやすい顔で達之好みのタイプであった。

達之は彼女からのメッセージを開いた。

『お疲れさま!今日はバイト忙しかった?』

何気ない内容にホッとさせられる。
そろそろ食事にでも誘っていいのではないかと達之はこのところずっと考えていた。3週間もやり取りを続けていて、その上で断られる可能性は万に一つもないのではないかと思った。

達之は返信を打ち始める。

『忙しかった今終わったよ!』
『いきなりだけど今度の日曜日って空いてるかな?』

勢いに任せて予定を聞いてしまったが、あまりにも脈絡がなさ過ぎたのではないかと送ってから不安になった。

だが、間髪入れずに返ってきた返答で、そんな達之の不安はすぐに払拭される。

『それはおつかれ!日曜あいてるよー』

達之は心の中でガッツポーズをした。
すぐに返答を送る。

『オッケーじゃあ空けといて』

そう送ってから、達之はどこに行こうかと悩み始めた。
せっかくだから食事だけじゃなくてどこかに遊びに行きたかった。達之はスマホでデートスポットを検索し始めた。

そうしているとまたメッセージの通知がきた。
達之は晴菜からの返答を確認するためまたメッセージアプリを開く。
だが、晴菜からのメッセージはまだ来ていなかった。

1番最新のメッセージの差出人の名前を見て達之は目を見開いた。

差出人の名前は「長坂佑奈」
そう表示されていた。
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