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第17章 支配

達之は長坂佑奈からのメッセージを開いた。

『ひさしぶり！元気ー？』

とだけ書かれていた。

彼女とは高校3年の時に同じクラスだった。
クラスのグループメッセージが作られて当然その中に達之も佑奈も入っていた。

名前は登録済のためこのメッセージは紛れもなく長坂佑奈からのものに間違いないだろうが、もしかして送り先を間違えたのではないだろうかと達之は考えた。

佑奈とは学校にいる時は話をすることはあったが、個人的なメッセージのやり取りをしたことはない。
佑奈は発光するようなオーラを放っていて、誰しもが認める高校一の美人。
彼女から見れば達之は大多数の男子の中の一人、単なるクラスメイトでしかなかった。
だからといってその抜群のルックスをひけらかすようなことはせず、むしろ自然体で誰に対しても真っ直ぐに目を見て話すその性格に誰もが彼女に対して憧れの感情を抱いていた。

達之は佑奈と話をするだけで胸が高鳴った当時の感覚をまだ鮮明に覚えている。

達之はとりあえず

『元気だよー！長坂さんは？』

とだけ返信した。

その後またすぐに返事が来た。

『こっちも元気だよ！相田くんも東京来てるんだよね？』

「相田くん」とはっきり書かれているのを見て、達之は自分宛に送られたメッセージで間違いないことがわかった。

佑奈も大学進学のために東京に来ていることは知っていた。
少しだけ胸の高鳴りを感じながら達之はまたすぐに返答のメッセージを打ち込んでいた。