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美女の身影
第17章 支配
まだ約束の時間まで10分ほどある。


達之は自分が持っている中で1番自信のある服装で待ち合わせ場所で待機していた。


今日は朝からそわそわした気持ちが収まらなかった。


急に高校時代のマドンナからメッセージが届いて、メッセージの行き来が始まったかと思うと、その数日後には食事にいく事になったのだ。何とも目まぐるしい流れだった。


長坂佑奈は相談があると言っていたが、そんなに深刻そうな雰囲気ではなかった。むしろ深刻な相談をされるほどの間柄ではないので、そんなに難しい内容ではないのだろう。
大学進学の為にお互い東京に来ているので、その部分で親近感を感じてくれて連絡をくれたのではないかと思った。


歩道の向こうから、ひときわ異彩を放つ女性が歩いてくるのが見えた。


彼女とすれ違った何人かの男達が振り返るような美貌の持ち主だった。


長坂佑奈に間違いなかった。


高校を卒業して数ヶ月しか経っていないが記憶の中の彼女よりさらにルックスが磨かれているように思えた。


長身で小顔のため、歩く姿が目を見張るほど美しかった。
私服姿の長坂佑奈は大人っぽく、垢抜けて見えた。
雑誌に出てくるようなモデルと比べても恐らく遜色ないはずだ。

長坂佑奈はこっちを見つけると、笑顔で手を振りながら近づいてきた。

達之の近くにいる男達が佑奈を見てから達之を見た。
しかも一度ではなく2・3回、目が行き来する。


「あの美女の待ち合わせ相手がこの男?」と思われているかもしれないなと達之は思った。
急に恥ずかしくなってくる。

確かに吊り合いが取れていないのは明らかだった。
そうドギマギしているうちに佑奈はもう達之の目の前に到着していた。


佑奈「相田くん、ひさしぶり」

口許に微笑みを残しながら佑奈が口を開いた。
目の前に来た長坂佑奈の佑奈の破壊力は物凄かった。
ふわっと香水の香りが鼻腔をつく。
大人っぽい香りだった。

達之「久しぶり」

佑奈「ごめんね、待った?」

達之「ううん、今ついたとこ」

良かった、そう言って佑奈は人差し指を立てると、向こうの方向を指した。

佑奈「それじゃあ行きますか」

達之「う、うん」

達之は佑奈に導かれるように歩き始めた。

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