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美女の身影
第17章 支配
佑奈が手洗いに立ったあと、店内のテーブル席で達之は1人身悶えていた。
さっき佑奈が放った一言があまりにも強烈でまだそれが実際自分に対して投げかけられた言葉だと飲み込めずにいる。


先ほどラストにオーダーしたドリンクが運ばれてきて、佑奈が申し訳なさそうに口を開いた。

佑奈「ごめんね。時間制限ありだとは思わなかった。」

達之「しょうがないよ。それに今日は楽しかったよ。ありがとう」

佑奈「相田くん、、、飲み足りた?」

達之「うん、まあ、俺はそこそこかな」

佑奈「・・・良かったらもう少し付き合ってくれない?」

「付き合って」という言葉を佑奈から投げかけられて達之はドキリとした。
当然交際してほしいの意味では無いことは百も承知だが高校時代のマドンナからこの言葉を聞けるのはかなり貴重な事のように思う。

達之は佑奈の薄っすらと笑みを浮かべて返答を待つその表情を見て、この誘いを断ることなどできる訳がないと思った。
当然二つ返事でオッケーした。


だがその後の彼女の一言に達之は度肝を抜かれた。

佑奈「私の部屋で飲もうか。ここから5分だし」

達之「え・・・・」

達之が返答に困っていると佑奈はこっちの動揺を察したのか、ニッコリと笑い「決まりっ」とだけ一言発して席を立ったのだった。


達之はとりあえず深呼吸をする。

これからあの長坂佑奈の部屋に入る事になったのだ。

予期せぬ展開に動揺しているのは明らかだった。

当然彼女に「そんな」つもりは無いことはわかっている。

自分と佑奈ではあまりにも吊り合いが取れなさすぎる。

向こうは高校時代学校中の視線を集めたマドンナ、こっちは平凡なただの男だ。

それにしても、と達之は思う。

部屋に上げてもいいと思えるほどの最低限の好意は持たれているようではあった。

彼女にとって部屋に男を上げるというのはどれくらいのハードルなのかはわからないが、オッケーの判断基準の中に自分が入っていることは、確からしいことであった。

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