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美女の身影
第24章 危険な誘惑(1)
(さっきのは何だったんだ・・・・?)


仲居が食器を片付けに来たので終わってしまったが、黒井は心臓の鼓動が止まらなかった。


仲居が部屋に入ってくるタイミングで佑奈は前髪を直しながら、黒井からサッと距離を置いた。


食事中は相対していたのに黒井の方へと移動している佑奈を見て仲居は何かを察したのかもしれなかったが、全く気に留めていないそぶりで、食器を片付けていく。


何故佑奈とキスができたのか全くわからなかったが
触れた佑奈の肩や、唇を重ねた感触がはっきりと残っている。
あまりにも目まぐるしくて黒井はまだ自分の中で消化しきれずにいた。


さっき佑奈が言った台詞がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
『・・・黒井さんが好きなことして・・・いいですよ・・・?』


好きなこと・・・好きなことをしていいとは・・・ごくッ
黒井はいかがわしい妄想をしてしまい思わず生唾を飲み込んだ。
もし・・・あのタイミングで仲居が来なかったら、と考えずにはいられない。


仲居「布団はお敷きしてよろしかったでしょうか?」


佑奈「あ、はい。お願いします」


仲居は丁寧に拭いたローテーブルを部屋の隅に寄せ、布団の用意をし始めた。


まるで当然かのように部屋の中心に2つ並べてセットしていく。
黒井は仲居が布団をセットするのを黙って見つめるしかなかった。
平常心を保とうとしたが、まだ脳の処理が追いついていない。


仲居「これで終了となります。それではごゆっくりお過ごしください」


仲居が手際よくセットを終えるとそそくさと退散していった。


佑奈がふふと笑い口を開いた。


佑奈「布団、隣同士ですね笑」


黒井「ああ、うん」


黒井は佑奈の顔も見られず曖昧な返事しかできなかった。


佑奈「私歯磨きしてきますね」


佑奈はそう言うと洗面所の方へと向かって行った。


黒井は1人になると深呼吸し、改めて部屋を見渡した。
清潔のある和室に、露天風呂を眺められる大きな窓、畳の上に、横並びで敷かれた2つの布団。もはや仲居も入ってくることがないこの空間で今から佑奈と一夜を過ごすのだ。


黒井は上昇した体温を下げるために、コップに残ったビールを一気に飲み干してしまった。
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