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遠き記憶を染める色【完結】
第10章 幼き疼き
”もうすぐサダト兄ちゃんはテレビに出て、有名人になるんだ。そうなれば、アイドル歌手とかモデルとか芸能人の彼女ができるよ。それは仕方ない。でも…、この人のことを一番知っているのは私だよ…!”


おそらくは、こんな思いと焦りが流子の中で交錯したのだろう。
サダトに、そんな少女の切ない胸の内をどこまで見えていたのか…、それは定かではない。


互いの唇を離した後もサダトは流子の肩を抱き寄せ、二人は静かに海を見つめていた…。


「…流子ちゃんを守りたい気持ちで愛してるってことは、キミを大切に思うってことだからさ…」


「うん…」


流子はサダトの気持ちが十分伝わったので、”それ”を納得はした。
だが、どうしても”不安”がつきまとうその感覚が怖かった。


”これからはめったに会えない。このままで終わっちゃったらどうしよう…”


これ以降、流子にはこの不安感がどっと重くのしかかる日々を送ることとなるのだが…、同時にそれは、高まる性欲との対峙も同居させたものでもあった。





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