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遠き記憶を染める色【完結】
第12章 私の中に産まれたモノ、彼の中の壊されたモノ
合宿最終日の午後、帰り支度にかかっていた流子たち水泳部のメンバーは、皆はしゃぎまわっていた。
8日間の夏季合宿を無事修了できたことでの充実感と安堵感…。
当日夜、”夜行バス”で千葉南端への帰路につく彼女らは、胸が躍る気分だったに違いない。
さらに…、だった。
「じゃあ、頼むよ。大岬のバスターミナルに着くまでは、みんなに言わないで。A子とB美にしか話してないんだからさ」
「わかってる、わかってるって!レッツロールの甲田サダトが流子を迎えに来てるなんてわかったら、他の部もこぞって押し寄せてパニックになるもんね。あえて、その場でわかっちゃった方が返って騒ぎは限定されてさ、流子達を程よく開放すると思うよ」
「そうそう…。でもさ、ツーショットとは言わないから、私たち親友二人には彼とのスマホ撮りくらいはよろしくだよ、流子」
「うん…、うまく誘導するから」
A子とB美は目を爛々とさせて、翌朝のサプライズにときめいていた…。
もっとも、”明日の早朝”を一番待ち焦がれていたのは、潮田流子であったのは言うまでもない。
***
8日間の夏季合宿を無事修了できたことでの充実感と安堵感…。
当日夜、”夜行バス”で千葉南端への帰路につく彼女らは、胸が躍る気分だったに違いない。
さらに…、だった。
「じゃあ、頼むよ。大岬のバスターミナルに着くまでは、みんなに言わないで。A子とB美にしか話してないんだからさ」
「わかってる、わかってるって!レッツロールの甲田サダトが流子を迎えに来てるなんてわかったら、他の部もこぞって押し寄せてパニックになるもんね。あえて、その場でわかっちゃった方が返って騒ぎは限定されてさ、流子達を程よく開放すると思うよ」
「そうそう…。でもさ、ツーショットとは言わないから、私たち親友二人には彼とのスマホ撮りくらいはよろしくだよ、流子」
「うん…、うまく誘導するから」
A子とB美は目を爛々とさせて、翌朝のサプライズにときめいていた…。
もっとも、”明日の早朝”を一番待ち焦がれていたのは、潮田流子であったのは言うまでもない。
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