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遠き記憶を染める色【完結】
第13章 再会、そして抱擁
「わー!あれ、レッツロールの甲田サダトだ!」
「やっぱ、来てたんだ、この大岬に!」
”キャー!!”
他の生徒たちも事態を把握するや、一斉にA子とB美の後を追いかけて走って行った。
「待てー!みんな、”彼”は時間がないんだ。サインとか写真とかはねだるな!潮田は4年ぶりでやっと会えたんだ…。やっと…」
「…」
○○先生の発した制止の声に、皆は申し合わせたかのように立ち止まった。
***
その瞬間、彼女らの脳裏には、この千葉の片田舎に幼少時、よく訪れたと周知されていた有名アイドルグループのメンバーが、”今”なぜ戻ってきたのか…、その理由が咄嗟に思い浮かび上がったのかもしれない。
あの年下キラーで名の通る女優、永島弓子との破局でスキャンダルの渦中に身を晒された傷心癒えぬ22歳の芸能人たる彼が、我が同級生にわざわざ会いに来た…。
その厳粛な再会シーンが、たった今目の前で実現した…。
彼女らはこのリアルタイム感を瞬間的に捉えたのだろう…。
”パチパチパチ‥”
気が付くと、早朝の大岬バスターミナルは、二人の抱擁に拍手の音がこだました。
それは、突き抜けるような透明感のある響きだった…。
「やっぱ、来てたんだ、この大岬に!」
”キャー!!”
他の生徒たちも事態を把握するや、一斉にA子とB美の後を追いかけて走って行った。
「待てー!みんな、”彼”は時間がないんだ。サインとか写真とかはねだるな!潮田は4年ぶりでやっと会えたんだ…。やっと…」
「…」
○○先生の発した制止の声に、皆は申し合わせたかのように立ち止まった。
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その瞬間、彼女らの脳裏には、この千葉の片田舎に幼少時、よく訪れたと周知されていた有名アイドルグループのメンバーが、”今”なぜ戻ってきたのか…、その理由が咄嗟に思い浮かび上がったのかもしれない。
あの年下キラーで名の通る女優、永島弓子との破局でスキャンダルの渦中に身を晒された傷心癒えぬ22歳の芸能人たる彼が、我が同級生にわざわざ会いに来た…。
その厳粛な再会シーンが、たった今目の前で実現した…。
彼女らはこのリアルタイム感を瞬間的に捉えたのだろう…。
”パチパチパチ‥”
気が付くと、早朝の大岬バスターミナルは、二人の抱擁に拍手の音がこだました。
それは、突き抜けるような透明感のある響きだった…。