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遠き記憶を染める色【完結】
第17章 海でイッた二人
家へ戻る車中、サダトは”今後”の考えを流子に告げた。
「…芸能界、ずっとは無理かなって気持ちになってる。今のグループも解散でバラ売りって方針みたいだし…。そうなったら、オレ一人じゃ生き残れないのは自分がよくわかってる…。まあ、すぐではないだろうけど。流子ちゃんにはまず承知しててもらいたいから…」
「私、うれしいよ。ちゃんと話してくれて…」
流子は、今の時点で彼がそれを告げてくれたことが何よりうれしく、感謝した。
彼女の目はもう潤んでいた。
「流子ちゃん…、一度、都内のオレの部屋に来てくれるかな…」
「えっ…、いいの、私行って?」
これまた思いがけない彼からの投げかけに、一瞬戸惑った流子はぎこちなくこう聞き返した。
***
「もうオレ、潮田流子がいないとオレでいられないと思うんだ。…まだ高校生のキミを拘束するようなことは避けたいんだけど…」
ハンドルを握りながら、サダトはしんみりと心の奥を吐露した。
彼は正面を向いたままだたったが、その横顔で流子はサダトの表情が推し量れた。
そして…、彼女もまた、自分の偽らざる気持ちをここで告げた。
「私もだよ!…今まで告られた男の子は何人かいたし、その中には私も好きだった子も…。でも、カレシ作ることもできなかったよ。芸能人になって、自分なんか手の届かないところに行っちゃったって、そう自覚しても、私は甲田サダトがいないと私で生きて行けないって…」
「流子ちゃん…」
「サダト兄ちゃんがあの浦潮の洗礼受けた時、その遠い記憶が私をそうしたんだよ。私たちは海と繋がったから…」
「…」
ここ大岬を抱く紺碧の海…。
その海とサダト、そして流子がつながったあの遠い記憶…。
自分にとってはずっと宝物だった。
この時、彼女はそう確信した…。
「…芸能界、ずっとは無理かなって気持ちになってる。今のグループも解散でバラ売りって方針みたいだし…。そうなったら、オレ一人じゃ生き残れないのは自分がよくわかってる…。まあ、すぐではないだろうけど。流子ちゃんにはまず承知しててもらいたいから…」
「私、うれしいよ。ちゃんと話してくれて…」
流子は、今の時点で彼がそれを告げてくれたことが何よりうれしく、感謝した。
彼女の目はもう潤んでいた。
「流子ちゃん…、一度、都内のオレの部屋に来てくれるかな…」
「えっ…、いいの、私行って?」
これまた思いがけない彼からの投げかけに、一瞬戸惑った流子はぎこちなくこう聞き返した。
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「もうオレ、潮田流子がいないとオレでいられないと思うんだ。…まだ高校生のキミを拘束するようなことは避けたいんだけど…」
ハンドルを握りながら、サダトはしんみりと心の奥を吐露した。
彼は正面を向いたままだたったが、その横顔で流子はサダトの表情が推し量れた。
そして…、彼女もまた、自分の偽らざる気持ちをここで告げた。
「私もだよ!…今まで告られた男の子は何人かいたし、その中には私も好きだった子も…。でも、カレシ作ることもできなかったよ。芸能人になって、自分なんか手の届かないところに行っちゃったって、そう自覚しても、私は甲田サダトがいないと私で生きて行けないって…」
「流子ちゃん…」
「サダト兄ちゃんがあの浦潮の洗礼受けた時、その遠い記憶が私をそうしたんだよ。私たちは海と繋がったから…」
「…」
ここ大岬を抱く紺碧の海…。
その海とサダト、そして流子がつながったあの遠い記憶…。
自分にとってはずっと宝物だった。
この時、彼女はそう確信した…。