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遠き記憶を染める色【完結】
第18章 繋がった二人が戻った家
「何と言ってもさ、二人は大岬の海が大好きだもんね。でも、元気に帰って来てくれてよかったじゃない、義姉えさん」


「そうねえ…」


海子がそう合いの手を入れると、娘とテレビに出てる芸能人のツーショットに目を向ける絹子は、何とも言えず嬉しそうな表情を浮かべていた。
いや…、枝津子も海子もだった。


何しろこの場にいない潮田家全員、現役アイドルとして活躍する甲田サダトがこの大岬に凱旋し、流子と再会する光景を心待ちにしていたのだから…。


そして、4年ぶりに流子とサダトが並んだ姿を目にして、絹子と海子は共に”この二人はお似合いね…”と感じていた。


***


「さあさ、二人とも中入ってお湯浴びてなぁ、着替えておいで。今日はサダ坊が東京にもどるってから、みんなで早めに昼をとろうってことになっとるから。時期、磯彦と洋介も帰ってくるよ」


「…今ね、海子さんと揚げ物の準備してたのよ。今日はウチの居間でみんな一緒にってことだから」


枝津子の言を受け、絹子が補足すると、流子とサダトは目で会釈を交わし、それぞれの家に向かった。


「じゃあ、おばあちゃん、30分したらサダちゃんと一緒に来てください」


「あいよ…。じゃあ、サダ坊、風呂すぐ入れるから。行こうかね」


流子には、言葉に言い表せない何とも珠玉のひと時…。
そう言えた。


だが、その思いに浸っていたのは彼女だけではなかった。
サダトも同様の思いだったし、潮田家の皆も、できればこうやってずっと続けられればと願っていたであろう。





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