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遠き記憶を染める色【完結】
第20章 彼からの更なる告白、そして衝撃
「ああ、キミの言う通りだ。認める…。流子ちゃんにも、メールとかでは、結果的にウソついてたことになるな。すまない…」


「サダト兄ちゃん…、正直に言って。あの人、時代劇物の映画に主役級出演して、賞もらったよね。その直前でしょ、二人が別れたって報道されたの」


「うん…」


「これは私の推測だけど、あの人、大きな役を得られたからもう公表しようって思ったんじゃない?」


「どういうことだい、流子ちゃん…」


「永島弓子は、今まで何人かの年下の、それもアイドル系の男性と交際した経験を持っていたわ。その度、話題になって、映画やドラマで人気が出た。逆に、その前は低迷してた感じだと思う。…お兄ちゃんとの仲が話題に上る前なんか、よく週刊誌で凋落ぶりが出てた記憶があるもん。なら、今度もうんと年下のイケメンと浮名を流せば話題になって世間に健在ぶりをアピールできる。その勢いで、また映画とかの大役も射止められる…。そんな下心からって勘ぐれるよ!」


「…」


「確かに永島弓子だって、あなたを愛してたでしょうけど、性的な問題で結婚前提が白紙になったあとも自分の都合と目論みがあったからでしょう。で、あなたに口合わせを強要したのよ。…ゴメン、私にはそう思えてならないよ、サダト兄ちゃん…」


流子はサダトが自分の推測を丸々認めないだろうとは思った。
だが、言わずにはいられなかったのだ。
あまりにも彼が不憫で…。


***


「確かに、あの人にはそういう気持ちがあったとは思う。でも、オレも同意した訳だし、事務所にも彼女の言うことはもっともだってことでさ。はっぱ、それが芸能界ってことだし。…でも、流子ちゃんの気持ちは嬉しいよ。ありがとうな」


「サダト兄ちゃん…、私はあの人とは違うから!まだ高校生で大人の女性に比べれば全然だけど、あなたのことは誰よりも…」


ここで流子は涙をこらえきれず、思わず正面のサダトに抱きつき、泣き崩れた…。


そして、胸の中の中でこう呟くのだった。


”あの女、許せない!”






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