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遠き記憶を染める色【完結】
第24章 突然の一報
突然の一報




流子とサダトは、そのまま数分間くっついたままでいた。


「そろそろ離れないとホントにくっついちゃうかな(苦笑)」


「それでもいいよ、私。ずっと一緒だってことだもん(笑)」


結局二人は上下の重なり合いから、仰向けで横に並んだ。
その際、体にひっついたサダトの出したザーメンはそのままで…。


「できんだよね、サダト兄ちゃん。私とはさ…」


「ああ…。ふう‥、何か、自分へのテストみたいだったな…」


サダトは苦笑と照れ笑いがまじっていた。


***


その日の夕方、二人は幹線道路沿いのファミレスで早めの夕食を取った後、そのままサダトの運転で駅に向かった。
すでに雨はすっかり上がっていた…。


「…今日は遠いところ、ありがとう。帰り、気をつけてね」


「うん。…このカギ、結構早く使うかも。いい?」


「いいよ。任せる」


流子は一応、”確認”した。
結構迷ったが、やはり…。


この時、サダトは屈託のない笑顔を浮かべてさらりと答えたが、彼女が確認してきた意味は察していた。
そして‥。


”流子ちゃん、さようなら…”


駅の改札から満面の笑みで手を振る流子に、サダトは手を振り返し、”二つ”の別れを心で告げた。



***



耳を疑うような衝撃の一報が流子の元に届いたのは、それから10日後のことだった。
夕方、家に戻った流子が玄関で靴を脱いでいると、父親の洋介が奥から駆け寄って、背中越しに告げたのである。


”嘘でしょ…?サダト兄ちゃんが死んだなんて…!!”


「こっちには埼玉の甲田家からすぐに連絡が入ったんだ。今さっき、もうテレビでも報道を始めてる!…流子、どうやら、サダ坊…本当らしいんだ。いいか、しっかりな…」


洋介の後ろでは、妻の絹子がハンカチで目頭を押さえ、娘の胸中を案じていた…。


***


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