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遠き記憶を染める色【完結】
第38章 その後…
「…今度、違う大学病院の精神科に見てもらうわ。このままじゃ、気が変になるわよ」


あれ以来、マスコミの追求が止み、世間のバッシングからも解放されたが、弓子の頬はげっそりとこけ、明らかに人気は下降していた。
そして彼女を悩ませていたのが、頻繁に見る”あの夢”だった。


それは浴槽につかっていると、急に湯が真っ赤になり、いつの間にか水面には勃起した男のイチモツがふわふわ浮いていると…。


そう…、ネット上ではテレビの報道がなくなっても、むしろサダトの局部切断の衝撃にはあれこれと所説が飛び交い、東京湾で複数の”勃起した男のイチモツ”発見情報がまことしやかに流れているのだった。


そんな書き込みが人々に与える脳裏に浮かぶビジュアルは、きわめてグロなのは言うまでもない。
ましてや、サダトと浴室でセックスした元恋人としては、あまりにリアルなイメージが焼き付く。


その後、永島弓子はうつ病を患い、芸能界からフェードアウトしていく…。


***


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