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遠き記憶を染める色【完結】
第38章 その後…
その後…



『…本当に流子ちゃんには、なんてお礼を言っていいのか…。おかげで、サダトのファンの人たちからも温かい目で見てもらえて…。家内も毎日、サダトの仏前で涙を浮かべてヤツに報告してるんですよ。潮田さん、いずれ改めてそちらへ伺って、流子ちゃんには直にお礼を申し上げさせてもらいますので…』


「いえ…、こちらこそ出過ぎたマネをして、サダト君と残された家族の方にはかえって迷惑をおかけしたのではないかと、流子共々気を病んでおりましたので。甲田さんからこう言っていただくと、気持ちが救われます…」


『それで、流子さんはどうですか?何しろ実名を公表してあそこまでテレビで報道されて…、ウチのも学校でいやな思いをしてはいないかと心配しておりまして…』


「おかげさまで、周囲からの嫌がらせとかは全くないようで、むしろ、あの子には好意的に接してくれる人の方が多いようです。その辺はご心配なく…」


甲田サダトの遺族については、流子が今回のアクションを起こすにあたり、一番懸念していたのだが、真っ先に流子自らサダトの両親に了解を得て、事務所側にも事前に根回しをしてもらった後にマスコミへ接触したことで結果的には感謝される形になったのだ。


一方…、永島弓子のその後は…。


***


「…じゃあ、弓子さん…、医者はその夢を見るのはあくまで精神的な面で、いずれ時間が経てば解決するといってるんだな?」


「ええ。でも、これはサダトのこの世に残った情念よ。あんな夢、しょっちゅうなのよ。もしかしたら、あの千葉の娘が私に呪いでもかけてるかも…」


「…」


ベッドの上で、永島弓子の現恋人である若手お笑い芸人Zは、半ばげんなりしていた。


***


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