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遠き記憶を染める色【完結】
第5章 キオクの原点
船酔い真っ盛りで顔面蒼白のサダトに、今度は尿意が襲ってきた。
「ションベンか…。おお、あの子フラついてるんだから、海に落ちんよう、誰か支えてやった方がいい…」
「よし、じゃあオレが…」
と、漁師仲間が船の上から用を足そうと立ちあがったサダトに向かって数歩進んだその時…。
”バシャーン!”
「サダトお兄ちゃん!大変だよ、お兄ちゃ…、海に落っこちゃったよー!」
流子は大人たちに叫んだ。
***
「サダ坊ー!」
船から海に転落したサダトは必死で泳ごうとするが、ちょうどそこはこの時間帯、潮がうねる通称、浦潮が流れこんでいた。
潮の渦に寄せられ、サダトは頭まで海に浸かって、アッという間に船から遠ざかっていく。
「まずい!浦潮にひっぱられてる。船を転回させてくれ!源ちゃん、オレと一緒に頼むわ」
「ああ、わかった」
「流子は、ここ動いちゃいかんぞ。今、二人でサダ坊を引っ張ってくるからな」
「おじちゃん、お願い!」
”バシャーン…!”
磯彦と源汰の二人は海に飛びこみ、サダトが引き寄せられた潮のうねりの中へ泳いで行った…。
流子は船の端で身を乗り出し、心配そうに3人を目で追っていた…。
「ションベンか…。おお、あの子フラついてるんだから、海に落ちんよう、誰か支えてやった方がいい…」
「よし、じゃあオレが…」
と、漁師仲間が船の上から用を足そうと立ちあがったサダトに向かって数歩進んだその時…。
”バシャーン!”
「サダトお兄ちゃん!大変だよ、お兄ちゃ…、海に落っこちゃったよー!」
流子は大人たちに叫んだ。
***
「サダ坊ー!」
船から海に転落したサダトは必死で泳ごうとするが、ちょうどそこはこの時間帯、潮がうねる通称、浦潮が流れこんでいた。
潮の渦に寄せられ、サダトは頭まで海に浸かって、アッという間に船から遠ざかっていく。
「まずい!浦潮にひっぱられてる。船を転回させてくれ!源ちゃん、オレと一緒に頼むわ」
「ああ、わかった」
「流子は、ここ動いちゃいかんぞ。今、二人でサダ坊を引っ張ってくるからな」
「おじちゃん、お願い!」
”バシャーン…!”
磯彦と源汰の二人は海に飛びこみ、サダトが引き寄せられた潮のうねりの中へ泳いで行った…。
流子は船の端で身を乗り出し、心配そうに3人を目で追っていた…。