パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 single 1

side B ありきたりなPOPとしての一編

お隣の “なにかしら”女史の庭が、少しばかり思わせぶりに変わりながらも、いつもと同じ様に始まる一日。
子供たちのはしゃいだ声が、しばらく続いては過ぎ、行き交う車の音も街の真ん中へと移る頃には、このあたりも、のんびりと間延びした静けさを取り戻してゆく。

“ この頃、さっぱり姿を見ないけど、一体どうしたのかしら ”
“ なんでも大恋愛だったらしいわよ、本当に誰よりも幸せそうだったじゃない ”
何時にも増して通りが良くなる、ご近所同士の噂話に、いちいちピクリと、興味のある筈もない野良猫の耳が動いている。

“ あら、もうこんな時間、そろそろ夕飯の仕度しないと ”
再び子供たちの声が、一かたまりで過ぎ、だいぶ遅れて、それより重い足取りが、一つずつ、ゆっくり通り過ぎては、それぞれの家にホッとして鍵を下ろす。
“ なにかしら ”女史の庭も、それらより、ちょっと長い間隔で、思わせぶりに変わりつつある。
この家の主と、お隣の“ なにかしら ”女史の物語が終わり、二人していなくなった今も、変わらず繰り返される、ありきたりな一日。