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異邦人の庭 〜secret garden〜
第9章 ガブリエルの秘密の庭 〜甘く苦い恋の記憶〜
「…藤木先生?まだそんなところにいたんですか?」
紫織が理科室の入り口から声をかけると、長身の白衣の若い男が振り返った。

「ん?…ああ、北川さんか…。
どした?」
無造作な髪は所々寝癖がついている。
白衣は皺くちゃだし、その下に覗くシャツも清潔だがアイロンはかかっていない。
長い脚を包むのはリーバイスのデニムだし、まるで大学生のような姿だ。

…相変わらず学生みたいだわ。
紫織は可笑しくなる。

「他の先生方はとっくに礼拝堂ですよ。
また遅刻して、シスターカミラに叱られますよ」
笑いながら近づき、藤木の手から実験道具を受け取る。

「私が片付けておきますから、ミサに行ってください」
「へ?でも、君は行かなくていいの?」
不思議そうに尋ねる藤木に、紫織はにっこり笑って見上げる。
「私、保健当番なんです。
もう少ししたら保健室で待機なんで大丈夫です。
…藤木先生、要領悪いから…あ〜あ…。やっぱり実験室、散らかったままだわ」
生徒たちが使った化学実験道具が机に置かれたまま雑然としている室内を見渡し、やれやれと紫織は肩を竦める。

「一年生でしょ?最初が肝心ですよ。
後片付けまでが実験だぞ!…くらいばしっと言わなきゃ」
わざとため息を吐いて見せると、藤木はボサボサの頭を掻いた。
「…そうなんだけどさ、手が荒れちゃうから先生お願いって言われると弱くてさ…」
「…んもう。甘いんだから…。
藤木先生、女子校初めてでしょ?
女の子って、集団になると怖いですからね。
藤木先生が新任で優しくて、言うことを聞いてくれるってナメているのよ。
先生、しっかりしなきゃ」
腕組みをして眉を顰めて見せる紫織に、藤木は屈託無く笑った。
…笑うと目尻が甘く下がり、白く綺麗な歯並びが見える。

…貌立ちはイケメンなんだけどな…。
だから余計にナメられるんだろうな…。
密かに紫織は思う。

「ありがとう。しかし北川さんはしっかりしているなあ…。
まるでお母さんみたいだ」
紫織はむっとして藤木を叩く真似をする。
「失礼しちゃう。私17歳ですよ。ピチピチの女子高生捕まえてお母さんはないわ。
先生より10歳も年下なのに」
「ごめんごめん。頼もしいって言いたかったんだ。
…大体、こんな綺麗なお母さん、フツーいないしね」

藤木の眼差しが眩しげに紫織を見下ろす…。

…紫織の胸が、微かに甘く疼いた。






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