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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
「まあまあ紫織ちゃん、よく来てくれたわね。
あらまあ…!
貴女、一段と綺麗になって…!
元々凄い美人だったけれど、今はなんだか光り輝くようだわねえ。
やっぱり恋の力は偉大よねえ…!」
庇髪を揺らしながら、美加の母、艶子は眼を丸くした。
これから隣にある料亭に出勤するのだろう、鶯色の見事な金泥染めの小紋を着た艶子は如何にも一流料亭の女将然とした風格に満ちていた。
加えて、やや太り肉なのが親しみやすさと温かな印象を与えている。
「ママってば…。それ、あたしへの嫌味〜?」
美加がむっとしたように艶子を睨んだ。
艶子はひらひらと手を振り、陽気に笑う。
「美加と暁星くんは縁がなかったのよ。
やっぱり温室育ちのお坊ちゃまはダメよねえ。
見た目だけで判断しちゃうんだから。
女は見た目がすべてじゃないのにねえ」
「…それ、めっちゃイヤミなんですけどぉ〜」
「あら?そお?」
…美加と艶子の会話はまるで漫才だ。
思わず吹き出してしまいそうになる。
…そして、その如何にも仲の良い様子に、とても羨ましくなる。
…学校帰りに、聖路加病院そばの明石町にある美加の家に行ったのには訳がある。
来週に迫った藤木との下田旅行に協力してもらうためだ。
あらまあ…!
貴女、一段と綺麗になって…!
元々凄い美人だったけれど、今はなんだか光り輝くようだわねえ。
やっぱり恋の力は偉大よねえ…!」
庇髪を揺らしながら、美加の母、艶子は眼を丸くした。
これから隣にある料亭に出勤するのだろう、鶯色の見事な金泥染めの小紋を着た艶子は如何にも一流料亭の女将然とした風格に満ちていた。
加えて、やや太り肉なのが親しみやすさと温かな印象を与えている。
「ママってば…。それ、あたしへの嫌味〜?」
美加がむっとしたように艶子を睨んだ。
艶子はひらひらと手を振り、陽気に笑う。
「美加と暁星くんは縁がなかったのよ。
やっぱり温室育ちのお坊ちゃまはダメよねえ。
見た目だけで判断しちゃうんだから。
女は見た目がすべてじゃないのにねえ」
「…それ、めっちゃイヤミなんですけどぉ〜」
「あら?そお?」
…美加と艶子の会話はまるで漫才だ。
思わず吹き出してしまいそうになる。
…そして、その如何にも仲の良い様子に、とても羨ましくなる。
…学校帰りに、聖路加病院そばの明石町にある美加の家に行ったのには訳がある。
来週に迫った藤木との下田旅行に協力してもらうためだ。