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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
藤木との泊まりはこれで二回目だ。
一度目は急遽だったが今回は事前に分かっている。

蒔子の眼を誤魔化すには相当な準備が必要なのだ。
それに毎回、美加ばかりか母親の艶子までアリバイ工作に加担させていることが心苦しくてならなかったのだ。

「だから、きちんとお会いしてお詫びしてお願いしようと思い、まいりました」
折り目正しく挨拶する紫織を感心したように首を振る。
「さすがだわあ…!
紫織ちゃん。本当にお行儀は良いし躾は完璧!才色兼備で非の打ち所がないお嬢様よね」
「紫織は特別だよ。こんなに良く出来たコ、フツーいないもん。
だからさ、こんな優等生な紫織がオトコのことであたしを頼ってくれたのが嬉しくってさ、一肌脱ごう〜て気になっちゃったんだからさ」
美加がコーヒーを勧めてくれながら取りなすように口を挟む。
「それは私もそうよ。
…一度、学校で紫織ちゃんのお母様とお話ししたことがあるけれど…なんだかこう、怖いくらいにキチ〜ンとされた方でね。
お言葉遣いや礼儀作法なんかもう、完璧すぎるくらい完璧でね。
ほんっとに私なんか恥ずかしくなるくらいにお上品な貴婦人〜て感じな方なんだけど…。
…こんなこと、紫織ちゃんに言うのはナンだけど、なんだか冷たい…ていうか、人間の情が感じられない方なのよね。
ごめんね、紫織ちゃん。
…だから、こういう何考えてんのか分かんないようなきっちりした人がお母さんだと、紫織ちゃんに恋人が出来たらさぞかし大変なんだろうなあ〜て、お節介ながら心配していたのよ」
「…ママは、キチ〜ンとしてなさすぎだけどね。
昨日だって、カーラー巻いたままお店に行っちゃってさ。
お客さんに爆笑されたらしいじゃん」
「たまたまじゃない!
…あれ?なんの話だっけ?
ああ、紫織ちゃんのお母様ね。
あ、そうだ。紫織ちゃん。焼き芋食べる?
最近、焼き芋にハマってて、種子島から安納芋を取り寄せたのよ。
それがめっちゃくちゃ甘くて美味しいの!」
「あ、ありがとうございます。
でも、大丈夫です…」
「ママ!話が脱線しすぎ!」
「ごめんごめん!」

…一事が万事、この調子らしい。

…美加のお母さんみたいなひとが、お母様だったらなあ…。
紫織は密かに心の中で呟いた。


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