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異邦人の庭 〜secret garden〜
第11章 ミスオブ沙棗の涙 〜甘く苦い恋の記憶〜
案内されたペンションの部屋に入り、紫織は眼を見張った。
「…わあ…!
お部屋に温泉があるわ…!」
磨き上げられた一枚硝子の窓の外には、伊豆半島の海が広がる。
それらを背景に、見事な檜風呂の露天風呂があったのだ。
…藤木はペンションと言ったが、実際は高級コテージだった。
下田港が見下ろせる丘陵を利用した眺めの良い場所に鄙びた京町家風のコテージが敷地内にいくつか分散して建っていたのだ。
予約したコテージは和洋折衷な部屋が二間あり、調度品も質の良いものが使われている。
飾られていた藤田嗣治の絵画も恐らくは本物だろう。
部屋のバスルームは白一色で統一されており、コンパクトだが優美な猫足のバスタブだ。
また、外の露天風呂も家族で入れるほどに広々としていた。
「…高いんじゃない?このお部屋…」
紫織は少し心配になった。
父親に連れられ贅沢な旅は慣れている紫織は、だからこそこういったコテージがかなり値の張る宿だと言うことを知っているのだ。
藤木は小さく笑って、紫織を背中から抱きしめた。
「子どもはそんなことを気にしなくていいの」
むっとして男を見上げる。
「子どもじゃないわ」
「…そう。子どもじゃないね」
…僕の大切な可愛い恋人だ…
そう言いながら、顎を優しく捕らえられ、口唇を甘く奪われた。
「…ん…っ…」
口唇が離され、睫毛が触れ合う距離で見つめられる…。
「…君と過ごす初めてのクリスマスイブだ…。
…二人だけで、何もかも忘れて、ゆっくり過ごしたかったんだ…」
「…先…生…」
…美しい榛色の瞳…。
その中に自分が映ることが奇跡のように感じる…。
「…嬉しい…」
潤んだ瞳で男を見上げ、自分からキスをする。
「…ん…っ…せん…せ…い…」
「…紫織…」
軽いキスは直ぐに深く、長く、濃密なものにとって変えられる。
…それは、男女が愛し合う行為の前奏とも言える甘美なものだ…。
広いダブルベットにしなやかに押し倒され、紫織ははにかみながら男を睨む。
「…ランチは…どうするの…?」
艶めいた色の眼差しを向けながら、藤木が紫織のポニーテールの髪飾りを外した。
「…まだ二時間ある…」
…ランチの前に、君が食べたい…。
美しい低音の声が、しっとりと鼓膜を震わせる。
…紫織は瞼を閉じて、男にしがみついた…。
「…わあ…!
お部屋に温泉があるわ…!」
磨き上げられた一枚硝子の窓の外には、伊豆半島の海が広がる。
それらを背景に、見事な檜風呂の露天風呂があったのだ。
…藤木はペンションと言ったが、実際は高級コテージだった。
下田港が見下ろせる丘陵を利用した眺めの良い場所に鄙びた京町家風のコテージが敷地内にいくつか分散して建っていたのだ。
予約したコテージは和洋折衷な部屋が二間あり、調度品も質の良いものが使われている。
飾られていた藤田嗣治の絵画も恐らくは本物だろう。
部屋のバスルームは白一色で統一されており、コンパクトだが優美な猫足のバスタブだ。
また、外の露天風呂も家族で入れるほどに広々としていた。
「…高いんじゃない?このお部屋…」
紫織は少し心配になった。
父親に連れられ贅沢な旅は慣れている紫織は、だからこそこういったコテージがかなり値の張る宿だと言うことを知っているのだ。
藤木は小さく笑って、紫織を背中から抱きしめた。
「子どもはそんなことを気にしなくていいの」
むっとして男を見上げる。
「子どもじゃないわ」
「…そう。子どもじゃないね」
…僕の大切な可愛い恋人だ…
そう言いながら、顎を優しく捕らえられ、口唇を甘く奪われた。
「…ん…っ…」
口唇が離され、睫毛が触れ合う距離で見つめられる…。
「…君と過ごす初めてのクリスマスイブだ…。
…二人だけで、何もかも忘れて、ゆっくり過ごしたかったんだ…」
「…先…生…」
…美しい榛色の瞳…。
その中に自分が映ることが奇跡のように感じる…。
「…嬉しい…」
潤んだ瞳で男を見上げ、自分からキスをする。
「…ん…っ…せん…せ…い…」
「…紫織…」
軽いキスは直ぐに深く、長く、濃密なものにとって変えられる。
…それは、男女が愛し合う行為の前奏とも言える甘美なものだ…。
広いダブルベットにしなやかに押し倒され、紫織ははにかみながら男を睨む。
「…ランチは…どうするの…?」
艶めいた色の眼差しを向けながら、藤木が紫織のポニーテールの髪飾りを外した。
「…まだ二時間ある…」
…ランチの前に、君が食べたい…。
美しい低音の声が、しっとりと鼓膜を震わせる。
…紫織は瞼を閉じて、男にしがみついた…。