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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
家政婦の切長の瞳がつり上がる。
ハイジの家政婦・ロッテンマイヤーの如く恐しい貌だ。

「どちらでご覧になりましたか?」

「…で、でも…私の見間違いかもしれないし…」
おろおろしたように口を濁すと、家政婦はじりじりと詰め寄ってきた。
「構いません。どちらにいらっしゃるのですか?
もうお式のお時間だと言うのに、紗耶様はどこにもいらっしゃらないのですよ。
…肝心の千晴様もお部屋に閉じこもってしまわれて…一体何があったのか…。
貴女、ご存知ではありませんか?」
厳しい貌つきの家政婦が、ほとほと困り果てたように尋ねた。

「…あのう…。
紗耶さん、多分、サークルの仲間と一緒にいるんだと思います。
…男性ですけど…」
秘密を打ち明けるようにそっと小声で囁く。
家政婦の表情が一変した。

「男性⁈どういうことですか?」

アネゴは胸元に手を合わせ、哀しげに訴える。
「…その男性、私の彼氏なんです。
でも最近、なんだか様子がおかしいなあ…と思っていたら…。
さっき、二人っきりでひそひそ話していて…そのまま姿が見えなくなっちゃったんです。
…きっと…きっと…二人で出て行ったのよ!
か、駆け落ちしちゃったんだわ!
酷い!酷い!紗耶さん!隼人はあたしの恋人なのに!
返してよ!隼人を!」
わあわあ泣き叫ぶと、家政婦はぎょっとしたようにアネゴを小部屋の中に引き込んだ。

「…そのお話を詳しくお聞かせください。
その男性のお家は?
なんと言う方ですか?」

アネゴは振袖の袖で口元を押さえ、しゃくり上げながら答えた。
「…大島…隼人です。
…住所は…中野区野方…」

…許せ、隼人。
まあ一瞬、ドタバタに巻き込まれるかもだけど、すぐ疑いは晴れるだろうし…何より、ハセヒロとのごちゃごちゃの時間稼ぎできるもんね。

アネゴは袖の下で密かに満足そうに笑った。
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