この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「紫音、本当にいいのか?」
自室のものを散乱させながら荷造りしている紫音の背中に、父が声をかける。
…よく通る美声だ。
そう、パパは貌と同じくらい声も綺麗だ。
そんなことを、ぼんやりと思う。

「え?何が?」
振り返りもせず、紫音は尋ねる。
父は少し躊躇しながら、口を開いた。
「…せっかく日本の大学に入学したのに…。
もう辞めてしまって…しかもまたアメリカに帰るなんて…いいのか?」

紫音はふっと冷ややかに笑う。
「…僕のことに、少しは興味を持っていたんだ」
父は端正な眉を顰める。
「当たり前だ。
お前はパパの大切な子どもなんだから…」

紫音は強い眼差しで、父を睨みつけた。
「でも、ママと離婚したじゃない?
僕が十八歳になった途端、あっさり離婚してパパはさっさと日本に帰国しようとした。
まるで身軽になってラッキーみたいにさ。
それが悔しくて、僕はパパに着いて行くって言い張ったんだ。
僕が日本に着いて行ったら、パパはあのひとに会いづらいと思って…」
…あのひと…日本で偶然遭遇した、息が止まるほどに美しいひと…。
パパの古い本の間に挟まっていた写真のひと…。
…パパがずっと、ママよりも誰よりも愛していたひと…。

父は小さくため息をつき、穏やかに語り始める。
「…紫音。お前の目にどう映っていたかは分からないが、パパはママを好きだったよ。
アメリカの大学病院で優秀な心臓外科医として働くママを尊敬していたし、感謝もしていた。
決して夫婦仲は悪くなかった…と思っている。
ママはお前をとても可愛がっていたし、離婚してももちろん親権は渡さないと言っていたから、お前を日本に連れて行こうとは思わなかったんだ。
ママにはお前が必要だと思っていたしね…」





/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ