この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
私を虜にした…あの深い深い森に咲く百合と、ひんやりしたオークモス…それから、微かなカーネーションの薫り…。

その薫りはもはや手の届かないところにいってしまったのか…。
紗耶はあまりの喪失感に言葉を失くす。

「…紗耶ちゃん。
やはり僕とじゃ駄目なの?」
千晴の琥珀色の瞳が、紗耶を熱く…切なげに見つめる。

「…千晴お兄ちゃま…」
「僕はこれから君を束縛したりしない。
君の意思を尊重する。
君の人生を支えて、応援する。
紗耶ちゃんが藤木さんを忘れられなくても構わない。
…紗耶ちゃんが彼と…もう結ばれていたとしても、それでも僕は…」

辛そうな表情を浮かべながら語り続ける千晴に、紗耶は思わず口を開いた。

「…結ばれて…ないわ…」

「…え?」
千晴が端正な眉を顰めた。

「…私と藤木先生は、何もなかったわ。
…先生は私を傷つけたくない…て。
不幸にはしない…て。
…だから…ただ抱き合って眠っただけだわ…」

「…そう…なのか…」
…ほっと小さく息を吐いたのちに、何か考え込むように千晴が呟いた。

涙がはらはらと零れ落ちる。
…不幸にはしないとは、そういう意味だったのか。
一夜限りで、離れるつもりだったから、藤木は紗耶を自分のものにしなかったのか…。

それは彼の紗耶への優しさなのだろうか…。

…いいえ…
…違うわ…。

紗耶はそろそろと貌を上げた。


/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ