この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
政彦が紗耶の肩を掴み、唸るように叫んだ。
「…紗耶…!落ち着いてくれ!
あの男は、藤木は、お母様の昔の恋人だったのだよ⁈」
決して政彦が口にはしたくなかったであろう名前と言葉を口にした。
…最愛の母の過去の恋人を…。
愛する父にこんな辛い思いをさせる自分が情けなく、自己嫌悪に苛まれる。

けれど…

「知っているわ。何もかも!
それでも構わないの!
そんなこと、どうでもいいの!
私が先生を愛しているのだもの!」
…酷い娘だ。
自分勝手で、自己中心的で、残酷で…。
こんな娘を、父が愛想を尽かしてくれたらいいとさえ思う。
突き放してくれたら、どんなに楽だろうかと思う。

政彦は冷静だった。
決して怒らずに、優しく諭すように紗耶に語りかける。
「たとえそうだとしても、彼はお前を置いて去ったのだよ。
紗耶との恋を終わらせたのだ。
その男と、紗耶はどうするつもりなんだ?」

「追いかけるわ。
世界中を探して、追いかけて、捕まえるわ」

政彦が困惑したように、首を振る。
「そんなこと…!」
「できるわ!してみせる。
したいの。お父様。
私、藤木先生を追いかけたいの。
だって、先生は私の運命のひとだから」
自分だけがそう思っているのかも知れない。
藤木の真意は、未だに分からない。
だから、それを確かめたい。
藤木に会って確かめるまで、諦められない。
諦めたくないのだ。

政彦が苦しげに瞳を眇めた。
「…紗耶…」
こんなに哀しげな父を見たのは、生まれて初めてだ。
そんな表情をさせているのは他ならぬ自分なのだ。

…ごめんなさい。お父様。

だから…

紗耶は猛然と頭を下げた。
「私を、勘当してください」

政彦が息を呑んだ。
「紗耶…!」

頭を下げ続け、叫んだ。

「これ以上、お父様もお母様も苦しめたくないの。
お願いです。
私を、勘当してください…!」



/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ