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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「つ、月城さん!」
腕を捉えられ、じわじわと捩じ上げられる。
…そこには静かなる殺意が確かに感じられた。
「痛〜ッ!ちょっ…月城さん!痛いって!」
声を上げなければ、そのまま腕の一本や二本へし折られそうな勢いと殺気だったのだ。
「いくら風間様でもおふざけがすぎますね」
端麗な横貌はにこりともしない。
「わ、分かった…分かったってば…!
もう手を出さないから…!」
懸命に降参する。
風間の身体の下からしなやかに抜け出し、暁が宥めるように説明する。
「月城。
僕が先に忍さんにキスをしたんだ。
忍さんがミシェルと瑠璃子ちゃんのことを許してくれたことが嬉しくてね。
ただのご褒美のキスだよ」
「…まったく…貴方は…。
風間様に甘すぎますよ」
端正な眉を不快そうに寄せ…しかし、その手はもう暁の白い頰を愛おしそうに撫でていた。
「ごめんね、月城。
でも、僕が愛しているのは月城しかいないって、分かっているでしょう?」
「…暁様…!」
感に耐えたように月城が暁を抱き寄せ、そのまま熱い口づけを与える。
「…あ…っ…んん…っ…」
暁の甘く濡れた声…。
…濃密に舌を絡める淫らな水音すら聴こえてくる。
「…つき…しろ…んっ…はあ…あぁ…っ…ん…」
明らかに、俺の時より気持ち良さそうに…
じゃなくて!
俺の家で!
こいつらは!
何をヤッているんだ!
モヤモヤした嫉妬と不条理な怒りが不意に込み上げる。
注意しようとズカズカ近づく風間をちらりと見遣り、月城は冷淡に告げた。
「百合子様が客間でお待ちです。
瑠璃子様の演奏が始まりますよ。
お父様は早く行って差し上げなければ」
「分かっとるわ!」
吐き捨てるように答え、風間は憤懣やる方ない思いで庭園を横切る。
「…バカバカしい!
結局俺はヤツらの当て馬かよ!」
怒りに任せ、ミモザの枝を払い除ける。
鮮やかな黄金の花弁が風花のようにふわりと舞い落ちた。
…振り返るそこに、蕩けるような熱い…そして何より幸せそうな眼差しをした美しい暁が映る。
「…まったく…!
バカバカしくて、付き合えるか!
勝手に盛り上がってろっつうの!」
憎まれ口を聞きながらも、暁の眩い麗しさに胸がときめいた。
そんな自分に風間は苦笑する。
…俺は本当にバカだな…。
ミモザの花弁をそっと払い除けると、風間は前を向いて歩き出したのだった。
腕を捉えられ、じわじわと捩じ上げられる。
…そこには静かなる殺意が確かに感じられた。
「痛〜ッ!ちょっ…月城さん!痛いって!」
声を上げなければ、そのまま腕の一本や二本へし折られそうな勢いと殺気だったのだ。
「いくら風間様でもおふざけがすぎますね」
端麗な横貌はにこりともしない。
「わ、分かった…分かったってば…!
もう手を出さないから…!」
懸命に降参する。
風間の身体の下からしなやかに抜け出し、暁が宥めるように説明する。
「月城。
僕が先に忍さんにキスをしたんだ。
忍さんがミシェルと瑠璃子ちゃんのことを許してくれたことが嬉しくてね。
ただのご褒美のキスだよ」
「…まったく…貴方は…。
風間様に甘すぎますよ」
端正な眉を不快そうに寄せ…しかし、その手はもう暁の白い頰を愛おしそうに撫でていた。
「ごめんね、月城。
でも、僕が愛しているのは月城しかいないって、分かっているでしょう?」
「…暁様…!」
感に耐えたように月城が暁を抱き寄せ、そのまま熱い口づけを与える。
「…あ…っ…んん…っ…」
暁の甘く濡れた声…。
…濃密に舌を絡める淫らな水音すら聴こえてくる。
「…つき…しろ…んっ…はあ…あぁ…っ…ん…」
明らかに、俺の時より気持ち良さそうに…
じゃなくて!
俺の家で!
こいつらは!
何をヤッているんだ!
モヤモヤした嫉妬と不条理な怒りが不意に込み上げる。
注意しようとズカズカ近づく風間をちらりと見遣り、月城は冷淡に告げた。
「百合子様が客間でお待ちです。
瑠璃子様の演奏が始まりますよ。
お父様は早く行って差し上げなければ」
「分かっとるわ!」
吐き捨てるように答え、風間は憤懣やる方ない思いで庭園を横切る。
「…バカバカしい!
結局俺はヤツらの当て馬かよ!」
怒りに任せ、ミモザの枝を払い除ける。
鮮やかな黄金の花弁が風花のようにふわりと舞い落ちた。
…振り返るそこに、蕩けるような熱い…そして何より幸せそうな眼差しをした美しい暁が映る。
「…まったく…!
バカバカしくて、付き合えるか!
勝手に盛り上がってろっつうの!」
憎まれ口を聞きながらも、暁の眩い麗しさに胸がときめいた。
そんな自分に風間は苦笑する。
…俺は本当にバカだな…。
ミモザの花弁をそっと払い除けると、風間は前を向いて歩き出したのだった。