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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…暁…」
風間は堪らずにその華奢な肩を引き寄せ、初夏の薔薇の蕾の如く柔らかな口唇を舌で、こじ開ける。
強引に薄くひんやりした舌を絡め、千切れんばかりに吸った。

「…んっ…」
…暁は拒まなかった。
甘く官能的な掠れた声をあげるのみだ。

「…暁…!」
風間は我を忘れて、口づけに夢中になる。
舌を絡め、その温かな口内を蹂躙する。
淫らな水音を立てて、貪り尽くす。

「…はあ…っ…んん…」
淫らな欲望に濡れた声…。
そうだ…。
暁は快楽に弱く、流され易かった。
それが愛おしく、夢中で彼を征服した。
狂おしくなるほどに懐かしい青春の時だ。


…暁との濃厚なキスは、何十年ぶりだろうか…。
もう、そんな行為が本当にあったのか怪しくなるほどに昔のはずだ。

けれど、風間の身体は五感で、この男と交わした目眩く素晴らしい愛の行為を覚えていた。
…この口づけだけで、それらすべてが、生々しく甦ってきたのだ。

暁との愛の営みは素晴らしかった。
暁の身体は絶品だった。
驚くほどに性技にも長けていた。
風間は若い頃はバイセクシャルだった。
たくさんの美しい青年と情交を交わした。
けれど、暁のように風間の身も心も虜にした男はいなかった。
百合子と結婚しても、時折、ふっと淫夢のように妖艶に身悶える暁の幻想が浮かんだものだ。

…濃密な口づけを繰り返しながら、暁のほっそりとした身体を抱き竦める。
異国の夜に咲く妖しく白い花の薫りが、風間の鼻先を掠める。

「…暁…お前は…少しも変わらないな…」

白絹のような肌のきめ細やかさも、キスをするとその射干玉の瞳を潤ませる癖も、男の欲望すべてを受け入れ、宥め、慈しむようなしなやかさと妖しさと、温かさも…。
それら全部を、風間は心から愛したのだ。

「…暁…俺は…お前を愛していたよ…」

白いシャツのボタンを外し、その奥に隠された白く熱い肌を狂おしく弄る。

「…今も…俺は…」

…愛して…


「そこまでです。風間様。
それ以上なさると、私は貴方のお命を頂かなくてはなりません」

丁重な…けれど、ぞくりとするような冷ややかな怒りを孕んだ月城の声が背後から忍び寄る。



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