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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
…眼の前に広がるのは、墨を流したような夜空と、煌めく数多の星。
そして、境目が分からぬほど、濃い群青色の海だ。
潮風の匂いと、静かな波の音で、海が近いのだと分かる。
紗耶は、一人バルコニーに出て、ぼんやりとその風景を眺めていた。
…私、本当にニースに来たんだわ…。
先生のもとに…。
あまりに大変だったこの数日の出来事と、今の状況の落差に、とても現実とは思えずに、何度も噛み締める。
…けれど…。
「…ここにいたの?紗耶…。
探したよ」
低音の美しい声が鼓膜を擽る。
次の瞬間、背後から強く抱きしめられた。
「…先生…」
…深い森に咲く百合と、ひんやりした苔の薫り…。
安堵するより、心臓が高鳴る。
そのまま、身体を回転させられ、優しく髪を掻き上げられた。
「…白いドレスがよく似合う…」
…まるで、花嫁のようだ…。
そう熱く囁かれ、紗耶は恥ずかしそうに俯く。
「…紗耶。僕を見て」
藤木の美しい榛色の瞳が、真摯な色を帯びていた。
「…きみを本当にぼくのものにする前に、話しておかなくてはならないことがある…」
「何…かしら?」
「…実はね、先ほど高遠さんから電話をもらった」
その名前に、紗耶は驚きに眼を見張った。
「お兄ちゃまから?」
そして、境目が分からぬほど、濃い群青色の海だ。
潮風の匂いと、静かな波の音で、海が近いのだと分かる。
紗耶は、一人バルコニーに出て、ぼんやりとその風景を眺めていた。
…私、本当にニースに来たんだわ…。
先生のもとに…。
あまりに大変だったこの数日の出来事と、今の状況の落差に、とても現実とは思えずに、何度も噛み締める。
…けれど…。
「…ここにいたの?紗耶…。
探したよ」
低音の美しい声が鼓膜を擽る。
次の瞬間、背後から強く抱きしめられた。
「…先生…」
…深い森に咲く百合と、ひんやりした苔の薫り…。
安堵するより、心臓が高鳴る。
そのまま、身体を回転させられ、優しく髪を掻き上げられた。
「…白いドレスがよく似合う…」
…まるで、花嫁のようだ…。
そう熱く囁かれ、紗耶は恥ずかしそうに俯く。
「…紗耶。僕を見て」
藤木の美しい榛色の瞳が、真摯な色を帯びていた。
「…きみを本当にぼくのものにする前に、話しておかなくてはならないことがある…」
「何…かしら?」
「…実はね、先ほど高遠さんから電話をもらった」
その名前に、紗耶は驚きに眼を見張った。
「お兄ちゃまから?」