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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…ああ。
彼は、こう言った。
…もし、貴方に何かあったら、いつでも紗耶ちゃんを託して欲しい。
それまでは貴方が存分に幸せにしてあげて欲しいと…。
自分はもう妻を娶る気はないから、いつでも構わないのだと言っていた」
「…そんな…お兄ちゃま…」
千晴の言葉に、苦しいほどに胸が詰まった。
高遠本家の当主が花嫁を迎えないなんて、そんなことが許されるのだろうか。
…お兄ちゃまは…そんなにも私のことを考えていてくれたのか…。
今更ながらに、千晴の心の広さと愛を知る。
同時に、自分が彼にしてしまったことの罪の大きさに、胸が締め付けられる。
藤木が黙って紗耶の頰を撫でた。
いつの間にか、涙を流していたらしい。
「…きみは本当に彼に愛されていたんだね。
こんなこと、簡単に言えはしない。
高遠さんは、立派な人物だ」
「…ええ…ええ…そうね。
立派なひとだわ。
私の…永遠の…王子様だわ…」
感謝している。
愛している。
自分をほんの少しも傷つかないように大切に愛しんでくれた。
…あの美しいお伽噺のような庭園で、紗耶に初恋という名の薔薇を手折ってくれたひと…。
…でも…
「でも私は、それでも先生が好き…。
この恋がどれほどたくさんのひとを傷つけたとしても、先生が好きなの。
だから、ここまで来たの…!」
自分の決意は変わらない。
だから、このまま真っ直ぐに生きてゆきたい。
このひとと、生きてゆきたいのだ。
「紗耶…。
きみのすべての罪は僕の罪だ。
きみは何も悪くない。
もう泣かないで…」
そのまま掬い上げられるように抱き竦められた。
「…先生…」
美しい榛色の瞳が、優しく紗耶を包み込んでいた。
「…すべての思いを抱いたまま、ひとつになろう。
紗耶…」
彼は、こう言った。
…もし、貴方に何かあったら、いつでも紗耶ちゃんを託して欲しい。
それまでは貴方が存分に幸せにしてあげて欲しいと…。
自分はもう妻を娶る気はないから、いつでも構わないのだと言っていた」
「…そんな…お兄ちゃま…」
千晴の言葉に、苦しいほどに胸が詰まった。
高遠本家の当主が花嫁を迎えないなんて、そんなことが許されるのだろうか。
…お兄ちゃまは…そんなにも私のことを考えていてくれたのか…。
今更ながらに、千晴の心の広さと愛を知る。
同時に、自分が彼にしてしまったことの罪の大きさに、胸が締め付けられる。
藤木が黙って紗耶の頰を撫でた。
いつの間にか、涙を流していたらしい。
「…きみは本当に彼に愛されていたんだね。
こんなこと、簡単に言えはしない。
高遠さんは、立派な人物だ」
「…ええ…ええ…そうね。
立派なひとだわ。
私の…永遠の…王子様だわ…」
感謝している。
愛している。
自分をほんの少しも傷つかないように大切に愛しんでくれた。
…あの美しいお伽噺のような庭園で、紗耶に初恋という名の薔薇を手折ってくれたひと…。
…でも…
「でも私は、それでも先生が好き…。
この恋がどれほどたくさんのひとを傷つけたとしても、先生が好きなの。
だから、ここまで来たの…!」
自分の決意は変わらない。
だから、このまま真っ直ぐに生きてゆきたい。
このひとと、生きてゆきたいのだ。
「紗耶…。
きみのすべての罪は僕の罪だ。
きみは何も悪くない。
もう泣かないで…」
そのまま掬い上げられるように抱き竦められた。
「…先生…」
美しい榛色の瞳が、優しく紗耶を包み込んでいた。
「…すべての思いを抱いたまま、ひとつになろう。
紗耶…」