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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
…紗耶のほくろひとつない透き通るように白い背中に爆ぜた欲望の樹液を、男が丁寧に拭い去る。

されるがままになりながら、紗耶はそっと尋ねる。

「…ねえ…先生…。
…どうして、なかに出してくれないの…?」

男の手が止まる。

…藤木は、三度とも中に射精はしなかった。
処女だったけれど、それくらいは分かる。
それが意味することも…。

「…私たち…赤ちゃん…作っちゃいけないの…?」
…微かな予感は透けて見えていたのだ。
そんな雰囲気は薄々感じていた。

藤木が小さく息を飲み、紗耶を優しく背後から抱きしめた。

「…僕はもう父親になるには歳を取りすぎている。
…子どもの将来に責任を持てないのに、そんな身勝手なことはできない。
紗耶にだけ、苦労を押し付ける訳にはいかない」

「…先生…」

抱きしめられる腕に優しい力が籠る。
「…僕と紗耶と…ふたりだけで愛しあってゆこう…。
僕はきみさえいたら、幸せだ…。
…もし、きみが…それは嫌だと言うのなら…」

…僕らは…

次の言葉を聞く前に、紗耶は口を開いた。

「…分かったわ…」
…それでもいい…。

「…それでいいわ…」
…このひとと、いられるなら…
なんでも構わない。
他には何も望まない。

「…赤ちゃん…いらないわ…。
先生がいてくれたら、それでいい…」

「…紗耶…」
…ごめんね…。
詫びながら、男は紗耶の髪に貌を埋めた。

…藤木は、泣いているようだった。

「…先生…」

…藤木はきっと、自分が老いる前に、紗耶を千晴に託すのだろう。
そう、約束をしたに違いない。
それが、藤木の紗耶に対する精一杯の真実の愛なのだろう。

…哀しくはなかった。
ただ、切なかった。

切ないけれど、それでいいと思った。
私たちの愛は、とても歪だけれど、それでいいと思った。

愛の形は、ひとつではない。
美しいもの、整っているもの、健やかなものだけが愛ではない。

歪だけれど、お互いがお互いを需めている。
それは、真実だ。
そして、永遠ではないけれど、今は一緒にいられる。
一瞬の永遠を、あるいは永遠の一瞬を、ともに生きるのだ。
…このひとと…
この、榛色の美しい瞳のひとと…。

「…私…」

そろそろと貌を上げた紗耶の瞳に、胡桃色の寝台のヘッドボードが眼に入った。

…そして、そこに刻まれた、あの細いフランス文字も…。


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