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異邦人の庭 〜secret garden〜
第5章 ペニー・レーンの片想い
「…じゃあ、僕は夕方から出版社の編集者と打ち合わせだから帰るけれど…。
大丈夫?紗耶ちゃん。
一緒に帰らない?」
来客用の駐車場で名残惜しげに千晴に言われ…
「…私、サークルの部室に顔を出してきます。
入部届けと…ほかの方にご挨拶したいので…」

隼人と約束したのだ。
今朝も交換したLINEからメッセージが来ていた。
『部室はサークル棟の二階な。
俺は夕方には行ってる。
他のメンバーに紹介するから来いよ。
一年生も来るからさ』
…隼人とLINE交換したことは、千晴には話してはいない。
なんとなく、話さない方がいいような気がしたのだ。

「…そう。じゃあ仕方ないな。
でも、なるべく早く帰っておいで。
待っているよ」
寂しげに告げたあと、手を取られ…そっと口づけされた。
紗耶の白い頰が薄桃色に染まる。
…手へのキスだけが、千晴に許された唯一のキスだ。
そう、千晴が決めたのだ。
昨夜、そう詫びの言葉とともに伝えられたのだ。

…紗耶ちゃんが大人になるまで、僕は待つよ…。
もう、紗耶ちゃんを怖がらせるようなことは決してしないから…。
ごめんね…。

優しい言葉と優しい眼差し…。
そして、優しい抱擁…。

「…はい。お兄ちゃま」
千晴の深い海の色のドイツ車が遠ざかるのを、いつまでも見送る。

…こうしていると、勘違いしてしまいそうになる…。
紗耶は思う。

…まるで…お兄ちゃまが、私を愛してくださっているかのように…。

紗耶の胸に、美しい母の面影がよぎり…不意に切なくなる。

…小さくため息を吐くと、紗耶はゆっくりとサークル棟へ向かった。

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