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sweet / 狂おしく咲く椿
第3章 エラー
着替え終わると、リビングへの道を歩いていく
そして玄関の戸と同じくらい豪華に装飾されたドアを開く
リビングの中では、珍しく父親の義人、母親のりえ、そして兄の椿が揃ってテーブルを囲み、パリで職人に作らせたソファに腰掛けていた。
「若葉、そこに座って?」
母親のりえが優しく微笑む
言われたとおり、若葉は椿の隣に置かれた一人掛け用のソファに腰を下ろすと少しだけ沈黙が続いた。
んっんん、と義人が咳払いをして沈黙を破った
「今日は跡取りについて話を思うんだが…」
義人の言葉を聞くと、若葉は目を輝かせた。
(やっと…跡取りに…)
「私が死んだあと、本郷グループは、椿に継いでもらおうと思う」
椿は義人の方をハッと見て、目を細くして微笑んだ
それと同時にダンッと若葉がテーブルを叩き立ち上がった
「なんで…?なんで兄貴なんだよ…っ…」
興奮を抑えきれず声が震えてしまう
「若葉、あなたに希望がないわけじゃないの。」
りえが若葉を宥める
「お前のそういうところがまだ子どもなんだ、わかるか?」
義人がそうきっぱり言い切る
納得出来ないのかわしゃわしゃと若葉は髪を掻きむしる
はっ、と短いため息を吐きリビングを飛び出し自分の部屋へと駆けた。